去る8月11日(月)、群馬県前橋市の県勤労福祉センターに、NPO法人機能性素材研究会より女子栄養大学教授の林修先生をお迎えし、『スピルリナの機能性素材としての魅力』についてと題して特別講演会が行われました。
林先生は、6月26日のNHK総合テレビ番組「ゆうどき」に出演されて、スピルリナの解説をされています。このような有名教授の講演のため、会場は満員の盛況となりました。
スピルリナは藍色細菌で地球環境の生みの親
地球は、もともと酸素も生物も存在しない無機的な状態でした。それが約35億年前、光合成をする藍色細菌(シアノバクテリア)のスピルリナが出現し、豊富な太陽エネルギーを利用して酸素を生成し、大気の組成は徐々に変化していきました。やがて蓄積した酸素からオゾン層が形成され、有害な紫外線が吸収されるようになりました。これにより生物は水中から陸上に棲む生物へと進化して、地球上に生命進化の舞台が作られていきました。
また食用の歴史としては、メキシコ・アステカ文明(14~16世紀)において、1,000年以上に渡って食用に供されていた記録があります。近年では、1967年の国際応用微生物会議(エチオピア)において、たんぱく質の豊富な将来の食料源として注目されています。
スピルリナの特徴
スピルリナには、たんぱく質が60~70%と豊富に含まれ、牛肉に匹敵する高いアミノ酸価で9種類の必須アミノ酸をすべてバランスよく含んでいます。
また、食物繊維を9%含み、その約40%以上は水溶性食物繊維でグルコース・コレステロール吸収を緩慢にして血糖・コレステロール値上昇を抑制します。乳酸菌、ビフィズス菌を増やし、腸内細菌バランスを改善します。不水溶性食物繊維は、ダイオキシンなど有害物質を吸着して体内からの排出速度を2~4倍に速めて、デトックス効果を高めます。
そしてβ‐カロテンを豊富に含んでいるので、抗酸化作用からアンチエイジング効果が期待されます。尚、95%以上の消化吸収性があり、効率よく体内に吸収されていきます。
アメリカで、安全性が確認されている!
アメリカは日本と異なり、危険が確認されなければ摂取してよいという、緩やかな規範になっています。米国FDA(食品医薬品局)では、2003年にスピルリナを "Generally Recognized as Safe" 物質として承認しています。
スピルリナの機能性
全体として、じわりじわりと効いてくるのがスピルリナの特長ですが、その中でもメインになるのが免疫賦活と抗アレルギー作用です。年齢による免疫機能の衰えを軽減し、各種アレルギーを軽減する働きがあります。また、NK細胞を活性化することにより、抗腫瘍作用が確認されています。更に、活性酸素種(ROS)を消去する抗酸化作用から、活性酸素による細胞障害を防ぎ、アンチエイジング効果が期待されます。
そして、予備軍を加えると2,200万人ともいわれる糖尿病を始めとする、生活習慣病の予防と改善にスピルリナは期待されています。
スピルリナの機能性
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まとめ
穏やかな口調で、スピルリナの機能性素材としての魅力を分かり易く説明して頂きました。しかしながら、今回は時間が足りなくなってしまい、最後は予定を省略しての講演になってしまったのは少々残念でした。次回は充分な時間での講演をお待ちしております。
(文: 滝川 彰)
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